着物などをつくる布や、茶碗など毎日の生活に使う道具に描かれた模様を「文様」といいます。日本では江戸時代に文様文化が広がりました。この絵本は江戸文様を詳しく解説する力作です。
江戸時代、武士以外の町人と呼ばれる商人や職人が多く街に住んでいました。生活にゆとりができた町人は自分たちのおしゃれを楽しむようになります。そして、町人のくらしに身近な題材をもとにして多くの文様がつくられるようになりました。
絵本では江戸時代の1年間のくらしに沿って文様を解説しています。お正月、ひな祭り、花見、鯉のぼり、七夕など、季節ごとの行事と関係のある文様があります。チョウや菊、紅葉、雪など、季節の風景に関わる文様もあります。おならを題材にしたおもしろ文様もあります。文字だけの文様もあるそうです。当時、寺子屋で勉強していた子どもたちは文字の文様を読めたのです。
作者の熊谷博人さんは本のデザインを仕事にする装丁家です。骨董市などを通じて、文様を染めるときに使う型紙や文様の見本帳を集めたそうです。熊谷さんは、文様から江戸時代の人々の暮らしぶりや風景が見えてくるといいます。文様に込められた人々の思いは、今の私たちにも引き継がれているのです。(店主)
うれし たのし 江戸文様(たくさんのふしぎ2021年1月号)
熊谷博人 文・絵
福音館書店
2021年1月1日発行
本体700円+税
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