今、「ケータイ」といえば携帯電話を指します。それほど携帯電話は私たちにとって身近で欠かせない存在になりました。携帯電話は家に据え付けられている固定電話が発展したものです。その固定電話を発明した人がアレクザンダー・グラハム・ベル。この絵本の主人公です。
ベルは子どものころ、家族からアレックと呼ばれていました。アレックは音が気になって仕方がない子どもでした。小麦が伸びる音を聞こうとしたこともあったそうです。おとうさんは、声がうまく出せない人たちに声の出し方や話し方を教える仕事をしていました。おかあさんは耳があまり聞こえない人でした。アレックは、おかあさんの耳に自分の声やいろいろな音がもっとはっきり届くようにしたいと強く願いました。そんなアレックだったから電話を発明することができたのでしょう。
写真をコラージュして描かれた絵があり、ベルが生まれ育った時代の雰囲気をよく伝えています。伝記絵本として迫力を感じさせる仕上がりになりました。科学絵本でもあり、コラムによる解説が内容の充実を手助けしています。
ベルの名前はよく知られていても、どんな人だったのかまで知る人はきっと少ないでしょう。この絵本の作者のあとがきによると、ベルはこどものころからほかの人を助けたいという気持ちを強く持ち続けたといいます。また好奇心も強く、疑問に対する答えを常に自分の力で見つけようとしたそうです。そんなベル少年に魅力を感じた作者の思いがこの絵本に結実しました。(店主)
ぼくは発明家 アレクザンダー・グラハム・ベル
メアリー・アン・フレイザー作
おびかゆうこ訳
廣済堂あかつき
本体1600円+税
2017年11月30日発行
2017年11月30日発行
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