お地蔵さまは多くの日本人にとって、とても身近な存在です。正確には地蔵菩薩と呼ばれ、仏教で信仰される対象の一つになっています。くわのみ書房の近くの薬師寺というお寺には、六地蔵という6体のお地蔵さまが祀られています。とくに子どもを守る菩薩として知られ、お坊さんの姿形をしていることもあって多くの人が親しみを感じるようになったのでしょう。
この絵本は写真家の田沼武能さんが、日本の各地で昔から行われているお地蔵さんにまつわる行事を紹介しています。田沼さんがお地蔵さまに関心を持ったのは、戦争がきっかけでした。1945年に東京は大空襲を受け、多くの人々が命を落としました。田沼さんはその際、防火用水槽で焼死していた子どもを見つけ、その姿がお地蔵さまと重なったといいます。
田沼さんが紹介するは全国各地の行事は、それぞれ独特な内容でとても興味深く見ることができます。子どもたちが行事の担い手として活躍していることも特徴の一つです。残念なことに、時代の流れとともに消えてしまった行事もあるそうです。写真で紹介して記録として残すことには大きな意味があると思います。
写真から田沼さんが子どもたちに向ける眼差しのやさしさを感じることができます。子どもたちの生き生きとした表情を楽しんでください。(店主)
地蔵さまと私(たくさんのふしぎ2018年1月号)
田沼武能 文・写真
福音館書店
2018年1月1日発行
本体667円+税
本体667円+税
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