ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2024年8月30日金曜日

【本の紹介】これは トイレットペーパーの しん(ちいさなかがくのとも2024年9月号)



 トイレットペーパーの芯を考察する絵本です。その秘めた能力に驚かされます。

 トイレットペーパーを使い切ると、芯が残ります。最近は芯がないトイレットペーパーもありますが、まだまだ多くの場合、芯があります。

 指で弾けば飛んで行くし、握れば押し潰されるし、簡単に破くこともできます。トイレットペーパーの芯はとても弱いのです。ところが、これを立ててみると力強さが感じられます。上に本を乗せてもへっちゃら。たくさんの芯が集まれば、安定感も増して、かなり重いものでも乗っかりそうです。

 すぐに捨ててしまうのはもったいないように思えてきたトイレットペーパーの芯。さて、どうする? (店主)


これは トイレットペーパーの しん(ちいさなかがくのとも2024年9月号)

谷内つねお さく

黑田菜月 しゃしん


福音館書店

2024年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2024年8月29日木曜日

【本の紹介】ロンドンのでんしゃにのって(こどものとも2024年9月号)



 ロンドンに行ったような気持ちになれる絵本です。ロンドンの乗り物を一緒に楽しみましょう。お話はアダムがおとうさんとお出かけするところから始まります。アリーナまで行ってトランポリンで遊ぶ予定です。

 最初に「オーバーグラウンド」に乗ります。地上を走る電車なので、こう呼ばれているようです。比較的新しく整えられた交通機関で、ロンドンの中でも少しのどかな景色を見ることができるそうです。

 次に乗るのは、ロンドンでお馴染みの地下鉄です。アダムはここで友だちのマキと待ち合わせ。マキのおとうさんも一緒です。地下鉄は「アンダーグラウンド」と呼ばれているようですが、「チューブ」(tube)という人も多いのでは…。次のディ・エル・アール(DLR)は最新の交通システムでしょうか。運転手がいない自動運転の電車です。運転手がいないから、チャンスがあれば先頭に乗ることもできます。アダムたちが乗った電車は、地下から地上に出ました。先頭からの眺めは最高でしょう。

 最後に乗るのは、なんとケーブルカー! テムズ川を超えて、空を飛ぶように進みます。ロンドンの電車の旅はとても楽しそうです。(店主)


ロンドンの でんしゃにのって(こどものとも2024年9月号)

せきなつこ さく


福音館書店

2024年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

【本の紹介】うごいた とまった(こどものとも年少版2024年9月号)



 子どものころ、「だるまさんがころんだ」でよく遊びました。動き回っていた仲間が一斉に止まる、あの遊びです。

 動いているものが突然止まる。あるいは、止まっていたものが突然動き出す。私たちはそれだけのことに心を揺り動かされてしまうのは何故でしょう。

 この絵本も「だるまさんがころんだ」にインスピレーションを得たようです。この絵本の付録に掲載されている「作者のことば」によると、お隣の韓国やヨーロッパのイギリス、フランスなど世界中に似たような遊びがあるそうです。人間が楽しいと思うことは世界共通のようです。

 動いていたものが止まるようすを描いた絵本です。動いたり止まったりすることは、私たちの生きる姿そのもの。生きていることを実感するから、ワクワクしてくるのですね。(店主)


うごいた とまった(こどものとも年少版2024年9月号)

古川タク さく


福音館書店

2024年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

【本の紹介】やぎ やぎ やぎ(こどものとも0.1.2. 2024年9月号)



 やぎには親しみを感じます。やさしそうでのんびりしているから、でしょうか。やぎともっと仲良しになりたくなる絵本です。

 やぎは草を食べます。草を食べたら、うんちをします。うんちをしたら気持ちよくなります。

 この絵本では、小さな白いやぎも、中くらいの黒いやぎも、大きな茶色のやぎも、みんな同じように気持ちよくなりました。でもその後は、みんな別々のことをしています。ぴょーんと跳んだり、足踏みしたり、大きな声で鳴いてみたり、いろいろなことをします。

 やぎの時間はとてもゆっくり流れているようです。やぎと仲良しになれば、きっと豊かなひとときを過ごせるようになるでしょう。(店主)


やぎ やぎ やぎ(こどものとも0.1.2. 2024年9月号)

飯野まき さく


福音館書店

2024年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)

2024年8月23日金曜日

【本の紹介】 たんぽぽのはら




 たんぽぽの花が一面に広がる野原のようすを描きます。いろいろな生き物が行き交う、ぽかぽかの野原です。

 みつばちが飛んできて、花の蜜を「ちゅるちゅるちゅる」。お腹いっぱいになったかな。

 とかげは、日向ぼっこしながらのんびり過ごします。すずめは、たんぽぽの種がご馳走です。人間の子どももやってきて、綿毛を「つん つん つん」。風が吹いて、綿毛は空高く飛んで行きました。

 何気ない生命の営みを繊細な版画で描いた絵本です。一つの野原を多層的に描き、奥行きの深い世界が表現されています。(店主)


たんぽぽのはら

とうごうなりさ


福音館書店

2024年3月10日発行

定価990円(本体900円+税10%)


#くわのみ書房

2024年8月22日木曜日

【本の紹介】からすが かあ!



 からすの生活を描いた絵本です。からすが憎めない存在であることに、あらためて思い至ります。繊細な版画の絵です。

 1羽のからすがお空を飛んでいます。お腹を空かせたからすです。

 柿の実を見つけて枝に止まりました。その後すぐに、別のからすがやってきました。2羽のからすがお話しているみたいです。「かあ! かあ!」「かあ! かあ!」

 2羽のからすは夕方まで一緒に過ごし、仲良くどこかに帰っていきました。からすは、どの街でも見かける身近な鳥。ゴミ置き場を散らかしたり、人間を困らせることもしますが、からすにはからすの生活があるのです。(店主)


からすが かあ!

とうごうなりさ


福音館書店

2024年3月10日発行

定価990円(本体900円+税10%)


#くわのみ書房

2024年8月21日水曜日

【本の紹介】あ! てんとうむし



 てんとう虫と一緒に遊ぶ絵本です。ワクワクする気持ちが伝わります。

 子どもがてんとう虫を見つけました。手の上に乗ってきたり、すぐに仲良しになれそうです。

 でも、てんとう虫はとても気まま。最後は羽を広げて飛んでいってしまいました。

 てんとう虫は誰もが身近に見つけることができます。小さくて可愛らしく、親しみやすい虫です。一つの命を感じる機会にもなるでしょう。(店主)


あ! てんとうむし

とうごうなりさ


福音館書店

2024年3月10日発行

定価990円(本体900円+税10%)

【ご報告】「村上春樹の絵本を読む会 vol.13」を開催しました!

 


 くわのみ書房は「村上春樹の絵本を読む会 vol.13」を8月9日(金)に開催しました。今回も定員いっぱいの4人の方にご参加いただきました。

 取り上げた絵本は『ハリス・バーディックの謎』(C・V・オールズバーグ絵と文、村上春樹訳、河出書房新社)です。最初の発行は1990年。その後、2015年に新装版が発行されています。今回ご紹介したのは新装版の方です。

 少し変わった構成の絵本です。ハリス・バーディックと名乗る人物が残した14枚の絵の複製を作者のオールズバーグさんが描き1冊にまとめた、という内容です。バーディック氏によると、14枚の絵はそれぞれ14のお話をもとに描いたそうです。バーディック氏はこれらの絵を児童書専門の出版社に持ち込んだ後、二度と現れることはありませんでした。バーディック氏の行方とともに、14のお話の内容も謎のまま。でも、もとの絵には、それぞれ題名と、ごく簡単な説明文が付いていました。そして、それらを手掛かりに、この絵本を読む人は自分だけのお話を作り上げることができるのです。

 実は、この絵本には続編があります。それが『ハリス・バーディック年代記 14のものすごいものがたり』(河出書房新社)。14人の著名な作家が『ハリス・バーディックの謎』の14枚の絵から物語を綴りました。当日は、この本も併せてご紹介しました。(店主)

2024年8月10日土曜日

【本の紹介】スペルホーストのパペット人形



 5体のパペット人形と1通の手紙をめぐる物語です。いくつもの物語が重なり合い、読む人を異次元の世界に誘います。パペット人形は人形劇などで使われる操り人形です。

 元船長のスペルホーストは天涯孤独な老人です。体調のよい日は町を歩き回ります。ある日、通りのおもちゃ屋で、王様とオオカミと少女と少年とフクロウのパペット人形を見かけます。少女の人形の目の色は、はるか昔にスペルホーストが愛した人と同じすみれ色でした。

 スペルホーストは少女の人形を買わずにはいられません。おもちゃ屋は人形を一つだけ売ることはできないというので、5体すべてを手に入れます。スペルホーストは、少女の人形を前に愛する人への手紙を書き、泣きながら眠りにつきました。そして、その翌朝、死んでしまうのです。

 人形たちのおしゃべりは、スペルホーストが死ぬ前から始まっていました。持ち主を失った人形たちは、手紙も入ったトランクに放り込まれ、がらくた屋に売られます。その後の物語は、この本を手に取ってから、どうぞたっぷりお楽しみください。(店主)


スペルホーストのパペット人形

ケイト・ディカミロ 作

ジュリー・モースタッド 絵

横山和江 訳


偕成社

2024年8月発行

定価[本体価格1500円+税]

【本の紹介】もののけしょくどう うらめしや




 どこかユーモラスな「もののけ」がたくさん登場する絵本です。もののけとは、お化けのこと。怖そうだけど、あまり怖くないのでご安心を!

 夜中の12時にお店が開く食堂があります。その名も「うらめしや」。もののけたちの食堂です。

 さっそくお客さんがやってきました。リモコンさんです。怖そうに見えますが、リモコンスイッチみたい。「たいしょう! いつもの くださ〜い」と注文すると、出てきたのは乾電池をネタにした「でんちにぎりずし」でした。リモコンさんは「エネルギーが みなぎってくる〜‼︎」と大喜び。おかわりもお願いしましたよ。

 続々とお客さんがやってきます。さて、どんな料理が出てくるのでしょう。真夜中のうらめしやは、今日も大繁盛でした。(店主)


もののけしょくどう うらめしや

たにむらのりあき


福音館書店

2024年6月15日発行

定価1,430円(本体1,300円+税10%)


2024年8月8日木曜日

【本の紹介】森の歌がきこえる



 人はどうしたら幸せに生きていけるのか。それを考えるきっかけになりそうな絵本です。

 物語の舞台は、森の中の小さな村。どこからか流れてくる美しい歌声は村人を幸せな気持ちにさせてくれます。また、森にはピーと呼ばれる精霊が住み、村人からうやまわれていました。

 村にはノイという少年が母親と二人で暮らしていました。ある日、見知らぬ男が村に現われ、森の木を切り倒し、かわりに「金もうけの木」を植えろと命令します。ノイは反対しますが、村人は男が配るお金に目を奪われ命令に従い、村のようすが一変します。さらにノイの行為で美しい歌声が聴こえなくなり、村はピーの怒りをかって洪水に見舞われます。洪水の後、村は再生の道をたどりますが、ノイには悲しい出来事が待ち受けていたのです。

 作者はラオスで広く伝えられたお話をもとに、この物語をつくりました。大胆なタッチの絵に、不思議な生き物のオブジェの写真を組み込んだコラージュによる絵本です。オブジェはラオスのアーティストによる作品です。(店主)


森の歌がきこえる

田島征三/作絵

ルートマニー・インシシェンマイ/オブジェ


偕成社

2024年7月発行

定価[本体価格1600円+税]

2024年8月7日水曜日

【本の紹介】イリエワニ



 圧倒的な迫力に驚かされます。表紙に描かれた、何とも恐ろしいその姿。イリエワニです。

 オーストラリア北部の熱帯地方に、川に沿って広がるマングローブの森があります。海に近い河口にはイリエワニが生息します。

 イリエワニは世界最大のワニです。大きなものは全長6メートルを超え、体重は1トンにもなるそうです。まるで鎧をまとうように硬い鱗が全身を覆っています。気性は荒く、肉食で何にでも食らいつき、66本の歯は折れても何度でも生えかわるといいます。

 イリエワニの生態を詳しく描いた絵本です。大自然のダイナミックな世界に身を委ねる感覚を味わいましょう。(店主)


イリエワニ

福田雄介 文

関俊一 絵


福音館書店

2024年6月20日発行

定価2,200円(本体2,000円+税10%)

【お知らせ】くわのみ書房の夏休み



 くわのみ書房は夏休みをいただきます。8月11日(日)から19日(月)までお休みします。(店主)

2024年8月6日火曜日

【本の紹介】うみへ やまへ



 趣向を凝らしたつくりの絵本です。同じ絵を使って、2つの別々のお話が出来上がりました。

 1つ目のお話は、山のお家から海に行く旅を描きます。着いたところが始まるところ。2つ目のお話は、海のお家から山を目指す旅が描かれます。

 前からも後ろからも読むことができる絵本です。絵で表現されている世界はひとつ。でも時空がねじれて別の世界が生まれました。そして私たちは、2つの別々の世界が重なり合うことを自然に受け入れているようです。

 不思議な感覚に陥りますが、もともと私たちの世界は多くの層が重なりあって出来ている。そう考えれば、むしろこの不思議さは当たり前のことのようにも思えます。(店主)


うみへ やまへ

三浦太郎


偕成社

2024年7月発行

定価[本体価格1500円+税]

2024年8月2日金曜日

【本の紹介】もぐちゃんのおさんぽ



 家族仲良く暮らせることが一番の幸せ。あらためて、そう思わせてくれる絵本です。

 もぐらのもぐちゃんは地面の下のマンションに家族7人で暮らしています。おじいさんとおばあさん、おとうさんとおかあさん、おにいちゃんとおねえちゃん、そしてもぐちゃんです。

 家族全員でお散歩に出かけるようです。もぐらはお日さまが苦手。だから外に出るときは、サングラスや日傘をしっかり準備します。もう一つ、もぐらが苦手なものは人間です。でも、お散歩の途中で出会ったらどうするの?

 ハラハラドキドキのお散歩でした。もぐちゃんの家族は、今日もみんな仲良く暮らしています。(店主)


もぐちゃんのおさんぽ

たかどのほうこ


こぐま社

2024年6月5日発行

定価 本体1300円+税

2024年8月1日木曜日

【本の紹介】ふうせんむし(かがくのとも2024年8月号)



 風船虫と一緒に遊ぶ方法を教えてもらえる絵本です。虫との遊びが、虫の観察につながります。

 風船虫のことは何も知りませんでした。付録にある「作者のことば」を読むと、大人でも知らない人の方が多いようです。

 絵本は、水の入ったコップに小さな紙切れがたくさん沈んでいるところから始まります。ページをめくると、魔法のように1枚の紙がふわふわと浮いてきます。実は、風船虫につかまれた紙が浮き上がり、放されるとまた沈んでいくのです。こうした動きが何度も繰り返されると、紙はまるで手でつかれた紙風船のように見えます。という訳で、この虫は風船虫と呼ばれるようになりました。

 風船虫は水の中で暮らす昆虫です。浅い池や田んぼなどの底で、藻などを食べて暮らしています。底の泥を網で薄くすくうようにして持ち上げると、風船虫を捕まえることができます。さあ、風船虫が繰り広げる魔法を体験してみませんか。(店主)


ふうせんむし(かがくのとも2024年8月号)

三田村敏正 ぶん

辻川奈美 え


福音館書店

2024年8月1日発行

定価460円(本体418円+税)


#くわのみ書房

【ご報告】「村上春樹の絵本を読む会 vol.14」を開催しました!

   くわのみ書房は9月13日(金)、「村上春樹の絵本を読む会 vol.14」を開催しました。ご参加は定員いっぱいの4人でした。  取り上げた絵本は『いまいましい石』(C・V・オールズバーグ絵と文、村上春樹訳、河出書房新社)です。2003年11月の発行されています。  物語は、帆...