木の物語です。描かれているのは「たいぼく」と呼ぶに相応しい大きな桜の木です。
どこかの街の公園にある木でしょう。静かに佇んでいるようにみえる木ですが、近づいてみればそこには多くの生き物が集まっていることが分かります。
春、シジュウカラやヒヨドリなどの鳥たちは、葉に付く虫や、木の実を食べています。葉の上のシャクトリムシがどんなに食べても、葉が食べ尽くされてしまうことはなさそうです。葉の付け根から出てくる蜜はアリの大好物です。
夏、トカゲやカエルが暑さを凌ぐため木陰で休んでいます。セミの幼虫は地面の下に広がる根から樹液を吸っているはずです。秋、落ち葉は虫たちのエサになります。そして、冬。落ち葉は生き物たちの暖かい寝床にもなるのです。
たいぼくは季節を通して一つの世界を形作ります。あなたの街にもたいぼくがありませんか? 身近なたいぼくを観察する楽しさを教えてくれる絵本です。(店主)
たいぼく(かがくのとも2022年1月号)
齋藤槇 さく
福音館書店
2022年1月1日発行
定価440円(本体400円+税10%)
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