大人になる前の不安定な心のひとときを鮮やかに描いた絵本です。あるがままの自分を肯定的に見てもらえるだけで、人は未来を生きてゆく勇気を与えられます。
おばあちゃんと一緒に暮らすようになった子どもは、同じ年ごろの子どもが描かれた1枚の絵に魅せられます。その子どもはかつてのおばあちゃんでした。おばあちゃんがその絵の思い出を語り始めます。
おばあちゃんは「ちょっといろいろ、いやなことがって」学校に行けなくなった時期がありました。夏休みになっても家に閉じこもってばかり。でも、おばあちゃんは、海のそばの家に一人で暮らす絵描きさんと1週間の間、一緒に過ごすことになります。
絵描きさんはおばあちゃんのおかあさんの昔からの友だちでした。天井の高い、海の見える部屋が絵描きさんのアトリエ。あるとき、絵描きさんが「おたがいの顔をかいてみようか」と提案します。こうしてできたのが、あの絵です。おばあちゃんも絵描きさんの絵を描きました。そのとき感じ取った何かが、今でもおばあちゃんの心に残っているのです。(店主)
海のアトリエ
堀川理万子
偕成社
2021年5月発行
定価[本体価格1400円+税]
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