子どもが母親のひざの上にいます。子どもは「ここは、おかあさんのひざのうえです」とつぶやき、それを否定することなく、「まちのまんなかでもあります」とつぶやきを重ねます。
さらに、ここは公園の近くでもあり、椅子の上でもあり、テレビの前でもある。子どもは、自分のいる場所が多層的であることを理解しているようです。
最後に子どもは、「ここは、ぼくのまんなかです」とつぶやき、自分のいる場所を再確認します。母親のひざの上で、母親の心臓の鼓動を聞く。子どもにとって、ここは安心して身を任せられる場所です。
深く広がりをもった世界を詩人のやさしい言葉で表現しています。絵がきちんとサポートし、その理解を容易にします。小さいお子さんも一緒に楽しめる絵本です。(店主)
ここは
文 最果タヒ
絵 及川賢治
河出書房新社
2020年6月30日発行
本体1300円+税
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