とても美しい絵本です。描かれているのはグリムロック通りがある町。ときがゆっくり流れていることを感じさせる世界です。夜の間に、ここでいったい何が起こったのでしょう。
大きな木が「こどものいえ」と書かれた看板のある建物の前にありました。たくさんの葉が茂っています。ハンチング帽をかぶったウィリアムが窓の外をみると、大勢の人たちが集まっていました。木の枝が刈り込まれ、すまし顔のフクロウが形作られていたのです。それから毎日一つずつ、グリムロック通りに枝を刈り込んだ動物が現れるようになります。新しい動物ができるたびに、見にくる人たちが増えていきました。
刈り込みの動物を作っていたのは一人の年老いた庭師でした。庭師は公演にある木も刈り込み、ウィリアムはそれを手伝います。やがて季節は移ろい、町の風景を一変させます。秋の景色に目を見張ります。冬になれば木の葉も落ちて、もう動物の姿を見ることはできません。でも、この町に暮らす人たちやウィリアムには、以前とは違う何かが起こっていました。何かとても素晴らしいことです。
ウィリアムは「こどものいえ」で暮らす子どものようです。でも、もうウィリアムには一人でも生きていける力が備わったと思います。深みのある絵は、いつまでも飽きを感じさせません。(店主)
夜のあいだに
テリー・ファン&エリック・ファン 作
原田勝 訳
ゴブリン書房
2019年6月発行
本体1700円+税
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