赤羽茂乃さんの講演を聞きました。演題は「赤羽末吉の人と作品」。赤羽茂乃さんは赤羽末吉のご子息と結婚され、家族の一員として赤羽末吉と接しました。赤羽末吉没後は多くの原画・スケッチ・資料などの整理に携わり、偉大な絵本作家の研究とその業績を広く紹介する活動を続けています。
赤羽末吉は第2次世界大戦の終わりを中国で迎えています。中国大陸の雄大な自然と暮らしが末吉に与えた影響はとても大きく、中国への愛情と尊敬は生涯失うことがなかったようです。モンゴルにも出かける機会があり、その経験は「スーホの白い馬」の制作に生かされることになりました。
赤羽末吉は外国の文化を理解することの大切さを強く感じていたようです。文化の理解を通じて国と国の交流が深まり、それが世界の平和につながります。日本の文化、自然を愛した赤羽末吉ですが、人間としての本質的な部分で国際性も兼ね備えていたと思います。今回の講演はJBBY(日本国際児童書評議会)が主催する「国際アンデルセン賞講座」第1回として行われました。赤羽末吉は1980年、日本人として初めて国際アンデルセン賞画家賞を受賞し、国際的にも高い評価を得ています。
赤羽末吉の晩年を身近な存在として支えた赤羽茂乃さんのお話からは赤羽末吉への深い理解を感じることができます。そして、赤羽末吉の作品を知ることは、絵本そのものをさらに深く理解するための道筋になるように思います。(店主)
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