子どもたちに本の楽しみを伝えたいと願う人たちが大勢います。そうした人たちの活動の拠点の一つになっているのが、私設の図書館ともいえる子ども文庫です。この本は、日本の子ども文庫のの全体像を描く力作です。
子ども文庫には、自宅で行う「家庭文庫」と公的な施設を使う「地域文庫」があります。その形態はさまざまで、いろいろなバリエーションがあります。
子ども文庫の先駆けは明治時代に見出すことができるようです。主に女性が担い手となって個人が運営する形態の家庭文庫は1960年代以降、爆発的に広がりました。そのきっかけとなったのが、石井桃子が自ら設けた家庭文庫の活動を紹介した「子どもの図書館」(岩波書店)です。やがて、主にグループで運営する地域文庫の取り組みも始まりました。
子ども文庫の取り組みは、公的図書館の開設を求める運動や子どもたちに読書を強く働きかける運動につながっていきました。社会がどんな状況にあっても、本を子どもたちに届けたいと考える人がいることを心強く思います。時代の流れとともに、子どもたちと本の関係も変化していくでしょう。流れの先行きを考える上でも、この本は大いに役立つと思います。(店主)
子ども文庫の100年
高橋樹一郎
みすず書房
本体3000円+税
2018年11月1日発行
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