八百屋やスーパーマーケットで見かける野菜は、形や大きさ、色つやなど、綺麗に整ったものばかりです。プロの生産者が、一定の規格に合うように作ります。
安定した品質で誰もが安心して購入することができます。形や大きさが整っていれば大量に運びやすくなり、値段も安くなります。規格に合った野菜は、多くの人たちに喜ばれる「商品」になるのです。
でも、この絵本の作者のことばにあるように「箱の中にお行儀よく並んだキュウリは少し窮屈そう」。私たちは「元気すぎて規格から野菜たち」のことも忘れてはいけないと思います。
この絵本で紹介されている野菜たちは、形や大きさがバラバラです。「商品」にはならない野菜たちかもしれません。でも作者は、そんな野菜に対して「口に入れたらどれも瑞々しく、小振りでも濃厚な味わいがある、美味しい野菜たち」と優しい眼差しを投げかけます。
ところで、この絵本にはイチゴも登場します。「果実のイチゴがなぜ?」と思われる方もいると思われます。一般的に、草に実るものを野菜、木に実るものを果実と呼ぶ定義があり、農林水産省はイチゴやメロン、スイカを果実的野菜と分類しているそうです。野菜の世界も奥深いですね。(店主)
やさいのかたち(かがくのとも2018年7月号)
真木文絵 ぶん
石倉ヒロユキ しゃしん
福音館書店
2018年7月1日発行
本体389円+税
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