日本は四季の違いが顕著です。日々の生活を潤すお楽しみは季節ごとに変わります。子どもたちの夏のお楽しみは何でしょう。この絵本の中に探しにいきましょう。
作者の平野恵理子さんにとって、夏はとくに思い出がたくさんある季節のようです。平野さんに限らず、子どものころの夏休みは誰にとっても忘れがたい日々であったと思います。思い出をたどれば、夏のお楽しみはたくさん出てきます。
平野さんはこの絵本を通じて、「せみしぐれ」ということばを、ぜひ子どもたちに伝えたかったそうです。蝉が一斉に鳴くようすを時雨の音に例えたことばです。真夏の暑さの中で聞く蝉の鳴き声を、時雨になぞらえることで一転、涼やかに表現できるようになりました。日本語の美しさを感じさせることばの一つだと思います。
平野さんは高く見上げた木々を描き、蝉の声が降り注ぐ様を表現しました。絵本の中からせみしぐれが聞こえてきそうです。この絵本に特別な夏は出てきません。幸せは日々の生活の中にあることを教えてくれました。(店主)
なつをみつけたよ(こどものとも年少版2018年7月号)
平野恵理子 さく
福音館書店
2018年7月1日発行
本体389円+税
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