なにがとおったの?
ちいさなかがくのとも2016年9月号
福音館書店
進藤恵子 さく
まず登場するのは飛行機雲です。飛行機雲は、飛行機が飛んだ跡です。何かが通ると跡が残る。でも、大抵のものはすぐに消えて無くなってしまいます。
この絵本で紹介されている中でも、最後のクレヨンは別として、水たまりを通った自転車やなめくじの通った跡、お風呂の鏡を指でこすった跡、しわしわのシーツをアイロンが通ったところなどは、いつまでも残るものではありません。かつて荒井由美は「ひこうき雲」という歌を作り、若くして亡くなった人の命を飛行機雲のはかなさに重ねて表現していました。
飛行機雲を見る機会が減ったのは、大人になって空を見上げる機会が減ったからでしょうか。子どものころでも、実際に飛行機から出ていることを見ることはめったになかったように思います。ときどき、飛行機雲を出しながら空を飛ぶ飛行機を見つけると、ずいぶん興奮したことを覚えています。
はかなく消えてしまうものに思いを馳せ、そこに何かを感じ取ってみる。いつまでも好奇心を失わないようにしたいものです。
はかなく消えてしまうものに思いを馳せ、そこに何かを感じ取ってみる。いつまでも好奇心を失わないようにしたいものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿