春を待ちわびる子どもの心を素直に表現した絵本です。季節の移ろいが見せる僅か変化を的確に捉え、読む人の共感を得ています。
お話は、白鳥が飛ぶ姿を描いた扉のページから始まります。窓越しに白鳥を見ていた子どもは、晴れていながら雨が降っていることを不思議に思い、直に屋根の雪が溶けて雨垂れのように見えたことに気づきます。
春が子どもに、外に出ることを呼びかけているようです。子どものウキウキした気持ちが伝わります。猫の瞳の変化で外の光の強さを表現しているところなど、心憎い演出もあります。
家の外の自然観察が丁寧です。まだ雪が残る中、遠くの桜並木の空が桜色に見えるなんて、本当でしょうか。春の訪れが楽しみになる絵本です。(店主)
はるになったら(こどものとも年中向き2022年3月号)
渡辺郁子 さく
福音館書店
2022年3月1日発行
定価440円(本体400円+税10%)
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