数学者が書いた数学の絵本です。数学を通じて世界をどのように見ることができるのか教えてくれます。洗練された美しい文章で、私たちを数学の世界に誘います。
主人公の数学者がアリになったところからお話が始まります。アリには数を数えるための指がありません。たくさんのものを同時に見渡すこともできません。アリには数というものがわからないのでしょうか。
アリになった数学者は、働きアリと数について話をしようとします。やはり、アリには伝わりません。数の概念がないようです。でも、背中に翅の生えた艶やかなアリが現れ、「わたしはここで、朝の露をかぞえていたのよ」というではありませんか。数学者は驚きます。「あなたには数がわかるんですか?」
どうやら、アリにはアリの数学があるようです。いつか人間が、アリの数学を分かるようになるかもしれない。数学者は、小さなアリになってはじめて、大きな数学の宇宙の入り口に立ったことを実感します。
この絵本は「たくさんのふしぎ」2017年9月号として発刊されました。異例の早さでハードーカバー化されました。(店主)
アリになった数学者
森田真生・文
脇坂克二・絵
福音館書店
2018年10月5日発行
本体1300円+税
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