この絵本に描かれている「こんとん」は白い毛むくじゃらの動物のような姿をしています。こんとんはいつも空を見上げて笑っているそうです。
こんとんのことろに、南の海の帝と北の海の帝がやってきます。二人の帝に問いかけられても、こんとんは空を見上げて笑うだけ。二人の帝は、こんとんに二つの目、二つの耳、二つの鼻の穴、そして口になる七つの穴をつくってあげました。
すると、こんとんは大きな体を震わせ、ばったり倒れてしまいます。そして、そのまま二度と立ち上がれなかったそうです。自分の目で見て、耳で聞いて、鼻で嗅いで、口で語る。それは大変なことだったのだろうと、お話の語り手が伝えます。これでこの絵本のお話はおしまい。
とても不思議なお話です。お話の語り手は、いつも空を見上げて笑っていたというこんとんが好きだといいます。こんとんとは、きっと「混沌」のことでしょう。混沌としているような世界でも、空を見上げて笑えば、きっと希望が見えるのだと思います。(店主)
こんとん
夢枕獏 文
松本大洋 絵
偕成社
本体1600円+税
2019年2月発行
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