子どもが怒っています。自分の名前が呼ばれるたびに、多くの人が笑うからです。子どもの名前は「へいたろう」。この絵本の主人公です。
友だちは「むかしの人みたい」「うまれるとき、おならしたんだよ」などと勝手なことをいいます。へいたろうは、自分で自分の名前を付けられなかったのは不公平だと憤ります。
私は、へいたろうの気持ちがとてもよく分かります。私も同じような悩みを持っていたからです。私の名前は「なすつねひと」。なすは野菜の「なす」と同じで、よくからかわれました。つねひとは漢字で「庸仁」と書きますが、ほとんどの人がきちんと読めません。学校の先生でも最初から正しく読めた人はいませんでした。
へいたろうは、へいたろうの名前を考えたおとうさんにその訳を聞く(つまり、文句を言う)ことにしました。すると、おとうさんは「なまえをかえることはできないけど、なまえのほうが、かわることがあるよ」といいます。「イヤなやつのなまえは、イヤなかんじがするけど、かっこいい人のなまえなら、かっこよく聞こえるからね」と話すおとうさんに私も感心してしまいました。そのあと「じぶんで、じぶんのなまえをかっこよくできたら、それって、すごくかっこいいかもしれない」と考えるへいたろうは、もうすでに、かなりかっこいいと思います。(店主)
ぼくのなまえはへいたろう
灰島かり 文
殿内真帆 絵
福音館書店
本体1200円+税
2018年6月15日発行
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