ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2017年10月22日日曜日

【本の紹介】森のおくから



 私たちの世界では、ときどき思いもよらないことが起こります。この絵本のお話もその一つ。100年ほど前、カナダで実際にあったお話です。
 アントニオが住むカナダのゴーガンダは森の中の小さな町です。アントニオのおかあさんは湖のほとりでホテルをやっていました。森にはたくさんの動物たちが住んでいましたが、アントニオにその姿を見せることはありません。森のおくに隠れて暮らしているのです。
 ある年の夏、日照りが続き、乾ききった森で山火事が起こりました。火はまたたくまに燃え広がり、もはや逃げる場所は湖しかありません。人々が水に浸かりながら火事を見ていると、炎と煙の向こうから動物たちも湖に逃げてきました。キツネやウサギ、オオカミのほか、クマまでやってきました。人間と動物たちは火が消えるまで、体が触れるほど近くに立っていました。
 アントニオが5歳のときのお話です。アントニオはその後もずっと、山火事の日のことを忘れることはありませんでした。あのとき、人間と動物を隔てていたものが確かに無くなっていたのです。アントニオは作者の祖父です。祖父は自分の子どもたちにこの話を聞かせ、子どもは母となり作者に語り伝えました。力強く描かれた絵がお話の内容をしっかり支えています。(店主)

森のおくから
レベッカ・ボンド 作
もりうちすみこ 訳

ゴブリン書房
本体1400円+税
2017年9月発行

0 件のコメント:

【本の紹介】なんていいひ

 子どもたちのエネルギーがあふれ出る絵本です。素敵な青空があれば、それだけで幸せな気分になれます。  外は雨。モノトーンに描かれた子どもたちはつまらなそう。でも、ラジオから流れ出す音楽は心をウキウキさせてくれます。  子どもたちは体全体で喜びを表します。もう家の中に留まっているこ...