チョウのすきな葉っぱの味(たくさんのふしぎ2017年3月号)
福音館書店
奥山多恵子 文・絵
本体667円+税
蝶々が緑の里山に飛び交い、一足早く春の訪れを楽しんでいるようです。たくさんのチョウが描かれ、一つひとつ名前が付いているので、図鑑のようにチョウの種類を学べます。
その中で主人公役として登場するのはアゲハです。交尾を終えて、子孫を残すための産卵が始まります。めすのアゲハは卵を産み付ける葉っぱを見つけようとしています。その植物は「食草」あるいは「食樹」と呼ばれ、チョウの種類によって決まっているそうです。あふれる緑の中から、自分の食草を探し出すことは簡単なことではないようです。
めすのアゲハは人家の方に飛んで行きました。選んだのはサンショウの葉っぱです。サンショウには特有の強い匂いがあります。このような植物を他の虫たちが食べることはほとんどありません。でも、卵から出たアゲハの幼虫はすぐに食事をすることができました。アゲハの食草に産んでもらったおかげです。
この絵本の作者は、ジャコウアゲハの幼虫を育てたことをきっかけに、チョウと食草の関係に興味を持ったといいます。ジャコウアゲハの幼虫はウマノスズクサという毒草を食べるそうです。春の里山を優雅に飛び回るチョウと一緒に生きてきた食草。そのしたたかさに驚き、自然がつくる仕組みの面白さを強く感じました。
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