コンピューターは今、私たちの生活に欠かせないものになりました。グレース・ホッパーはコンピューターの発展に大きく貢献した女性科学者です。この絵本はグレースの生涯をたどる伝記絵本です。
コンピューターがつくられたとき、それを動かすプログラムは「1」と「0」が繰り返し書かれているもので、誰もが使えるものではありませんでした。でも、グレースはコンピューターに人間のことばを学ばせることができると考え、英語が使えるプログラムを開発しました。このプログラムは「1」と「0」で書かれたプログラムよりはるかに簡単で、その後コンピューターが幅広く活用されることに大きく寄与しました。
おもしろいエピソードも紹介されています。コンピューターがうまく動かなくなる不具合を「バグ」といいます。バグとは英語の “bug” のこと。もともと「虫」という意味です。グレースたちが使うアメリカ海軍のコンピューターが動かなくなってしまったことがありました。調べてみると、コンピューター回路に本物の蛾が一匹だけはさまっていたことが原因でした。グレースたちはこの蛾を業務日誌に貼り付け、「本物のバグが(コンピューターの『不具合(バグ)』として発見されたはじめての例」と書きました。これをきっかけに、コンピューターの不具合を誰もが「バグ」と呼ぶようになったそうです。
この絵本は「世界をみちびいた知られざる女性たち」シリーズの3冊目です。先に紹介した「ドラゴンのお医者さん ジョーン・プロクター は虫類を愛した女性」「「危険なジェーン」とよばれても」(ともに岩崎書店)と併せてお楽しみください。(店主)
グレース・ホッパー プログラミングの女王
文 ローリー・ヲールマーク
絵 ケイティ・ウー
訳 長友恵子
岩崎書店
2019年10月31日発行
本体1600円+税
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