大人のラブストーリーの絵本です。淡いタッチの絵から優しい気持ちが伝わります。愛らしく、きらきらと輝く太陽のようなアデラ。礼儀正しく、しっかりした若者のリュカ。ドキドキしながら二人の恋の行方を見守りましょう。
アデラは村に一軒しかないカフェを営んでいます。そこは村のみんなが出会うもうひとつの「家」。村にとってなくてはならないものでした。アデラはいつも花束をつくります。市場から花を運ぶのは八百屋のリュカです。リュカは水曜日と日曜日の週2回、アデラのカフェにやってきます。水曜日にはカフェの中に出店を開きます。
ある水曜日のこと。アデルが店を締めて掃除を始めると、コートかけの下にばら色の長靴があることに気がつきます。アデルにぴったりのサイズです。誰かの忘れ物でしょう。でも持ち主は見つかりません。次の水曜日には、ばら色のレインコートがありました。そしてまた次の水曜日には、ばら色の傘が置かれていました。その日は雨でした。
アデラは雨が苦手です。でも、ばら色の長靴をはき、ばら色のレインコートを着て、ばら色の傘をさして外に出れば、雨が降っていても胸が弾みます。アデルは、泥にはまって動けなくなったトラックのかげに、びしょぬれのリュカを見つけました。ばら色の傘の下、あたたかい光が二人を包みます。(店主)
ばらいろのかさ
アメリー・カロ 文
ジュヌヴィエーブ・ゴドブー 絵
野坂悦子 訳
福音館書店
2019年6月15日発行
本体2300円+税
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