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2019年12月22日日曜日

【本の紹介】「危険なジェーン」とよばれても




 アメリカ人女性として初のノーベル平和賞を受賞したジェーン・アダムズの伝記絵本です。貧しく困っている人たちを助ける活動や、平和を求めるための運動に取り組んだジェーンですが、「うらぎりもの」「アメリカで一番危険な女性」などと呼ばれる時期もあったそうです。
 ジェーンは1860年に生まれ、1935年に74歳の生涯を終えました。2歳のときに母を亡くし、4歳のときに医師から脊椎カリエスという診断を受け、背骨が曲がり、爪先が内側に向いてしまいました。ジェーンはアンデルセン童話の「みにくいアヒルの子」になったような気分でした。
 ジェーンは貧しい人たちが暮らすところを見たことをきっかけに、困っている人たちを助けたいと願うようになります。こうした人たちのつらさをジェーンはもう知っていたのです。貧困に苦しむ人たちに寄り添う活動はセツルメント運動と呼ばれています。さらにジェーンは、世界の平和の実現に向けた活動にも熱心に取り組みました。
 ジェーンの誰に対しても分け隔てなくやさしく接する取り組みは、自分の国につくすことと相反するものとして批判を招くことになりました。近くにいる自分たちより、遠い国の敵だった人たちを大事にしているというのです。それでも、ジェーンは誰かを助ける仕事を、何年も何年も何年も、続けました。そして1931年、ノーベル平和賞にかがやくことになるのです。(店主)

「危険なジェーン」とよばれても
スザンヌ・スレード 文
アリス・ラターリー 絵
小林晶子 訳

岩崎書店
2019年8月31日発行
本体1600円+税

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