爬虫類の研究者として活躍したイギリス人女性の伝記絵本です。研究者というより、トカゲやヘビ、そしてワニを心から愛した人という方が相応しいと思います。
ジョーン・プロクターは学校から帰ると、部屋にこもって爬虫類の観察に熱中しました。16歳の誕生日には、ワニの赤ちゃんをプレゼントにもらって大喜び。紐を結び、リボンをつけてお散歩にも連れていきました。
やがてジョーンは自然史博物館の学芸員助手として働くようになり、その後、ロンドン動物園の爬虫類担当の学芸員になります。ロンドン動物園では世界最大のトカゲといわれるコモドドラゴンの飼育に成功し、注目を集めます。大勢の記者たちが取材に来ましたが、聞かれることは「かまれたことはありますか?」「こわくありませんでしたか?」「は虫類館のせきにん者は女の人だそうですね。いったい、どんな人なんですか?」といったことばかり。ジョーンは肝心のコモドドラゴンに関心を持ってもらえないことが悲しくなりました。
実話に基づく絵本です。ユーモラスに描かれた絵から、爬虫類に対するジョーンのやさしさが伝わります。ジョーンにとってコモドドラゴンは大切な友だちでした。お散歩やお茶の時間も一緒に過ごしました。残念なことに、ジョーンは病気のため、34歳の若さで亡くなっています。(店主)
ドラゴンのお医者さん ジョーン・プロクター は虫類を愛した女性
パトリシア・バルデス 文
フェリシタ・サラ 絵
服部理佳 訳
岩崎書店
2019年5月31日発行
本体1600円+税
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