おもしろい着眼点でつくられた絵本です。そこにあったものがなくなってしまうことを楽しもうという趣旨です。
お皿にのったおいしそうなぶどうがあります。それが「ない!」のは、きっと食べてしまったから。次に出てくるのは、かわいいお弁当です。これも「ない!」になったのは食べてしまったからでしょう。
ページをめくると、そこにあったものが次々になくなってしまいます。「ある」から「ない」になるまでには、食べてしまう以外のプロセスもあるはずです。
「作者のことば」にあるように、「ない」ということは「あった/ある」とともに存在するようです。であれば、私たちは「ない」から「あった/ある」を想像し、「あった/ある」から「ない」までのプロセスを想像して楽しむことができます。その想像が物語を生み出します。いろいろ想像をめぐらせ、子どもたちと一緒に楽しみましょう。(店主)
ない!(ちいさなかがくのとも2019年9月号)
名久井直子 さく
井上佐由紀 写真
福音館書店
2019年9月1日発行
本体407円+税
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