子どもたちには無尽蔵とも思えるエネルギーがあります。子どもたちにとって成長の糧となるエネルギーです。この絵本は、大きなエネルギーを発散させながら成長していく子どもたちの姿を見事に描いています。
おかあさんから、みんなに「おやすみ」をいうようにいわれた子どもは、お隣りの子どもにも「おやすみ」をいってこようと外に出ます。お隣の子どもも外に出ています。そして、そのお隣の子どもも、外に出てきました。いつの間にか大勢の子どもたちが集まり、走り出しました。
一体どこまで行くのでしょう。橋を渡り、船で海に漕ぎ出し、泳いで海を越えてジャングルを抜けていきます。崖っぷちから月を目指して空に飛び出しました。私たちは子どもたちの行動にハラハラするしかありません。
作者は「おやすみ」の言葉には特別な重みがあるといいます。「おやすみ」は夜寝るときにいう言葉です。寝る前にそばにいる人は家族や恋人など、自分にとって特別な人だけです。でも、この絵本の子どもたちは出会うものすべてに「おやすみ」と呼びかけます。それができるのは、子どもたちが、自分が愛している特別なものに囲まれているからに他なりません。最後に、自分に「おやすみなさい」をいう子ども。安心して眠りにつく姿にホッとしました。(店主)
よるはおやすみ(こどものとも2018年12月号)
はっとりさちえ 絵
福音館書店
2018年12月1日発行
本体389円+税
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