精密に描かれた虫たちが私たちを圧倒します。素晴らしい細密画が読む人を虫たちの世界に引き込みます。
生き物は分類学的に近い仲間ほど、その姿がよく似ているそうです。一方で、近しい存在でもない相手に姿を似せている生き物もいます。この絵本は、そんな「なりすます むしたち」を紹介しています。
虫たちはなぜなりすますのでしょう。作者のことばによると、天敵が自分を食べないように自分自身を守るため、また自分の獲物となる相手に気がつかれずにそっと近づけるようにするため。つまり、なりすますのは生き残るため。その必死な姿が私たちの心を打ちます。
この絵本に登場する虫たちは、アブラムシやアリ、ハチなど、地味な存在ばかりです。でも、生き生きと描かれたその姿はとても魅力的です。懸命に生きてゆこうとする虫たちの姿から命の大切さを感じます。(店主)
なりすます むしたち(かがくのとも2018年12月号)
澤口たまみ ぶん
舘野鴻 え
福音館書店
2018年12月1日発行
本体389円+税
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