父さんたちが生きた日々
童心社
本体2500円+税
2016年3月10日発行
岑龍=作
中由美子=訳
この絵本は「日・中・韓 平和絵本」シリーズの中の一冊です。このシリーズは、日本、中国、韓国の絵本作家や出版社が交流し、3カ国がそれぞれの国で、それぞれの言語で12冊の絵本を刊行しようという取り組みから生まれました。すでに10冊の絵本が発刊されているようです。
物語を語る「わたし」は中国人の女性です。父親は人類学の研究者で、中国と日本の戦争が始まる前は日本に留学していました。留学中は多くの友人を得て、とくに山本さんという人と兄弟のように親しくなりました。でも、戦争が始まると父親は祖国への帰国を決断。「戦争がおわったら、さくらのさくころに会おう」と約束を交わして別れます。
中国に戻った父親は家庭を持ちます。母親を日本の軍隊の攻撃で亡くすなど、とてもつらい経験もしましたが、戦争後も生きのびることができました。日本の山本さんのことを忘れたことはありませんでしたが、連絡を取り合うすべもありませんでした。山本さんを心配する日々が続く中、山本さんの母親から一通の手紙が届きます。
セピアがかった力強いタッチの絵が心を打ちます。日本は戦争が終わってから70年経っても、中国や韓国との間にある問題を解決しきれてはいません。ただ、希望はあります。この絵本に描かれているように、一人ひとりの人間としてお互いに尊重しあい、仲良くすることはできるからです。このシリーズを創るための三カ国の交流も、まさに「国の違いを超えた、相互理解と痛みの共有への努力の歴史」にほかなりません。
セピアがかった力強いタッチの絵が心を打ちます。日本は戦争が終わってから70年経っても、中国や韓国との間にある問題を解決しきれてはいません。ただ、希望はあります。この絵本に描かれているように、一人ひとりの人間としてお互いに尊重しあい、仲良くすることはできるからです。このシリーズを創るための三カ国の交流も、まさに「国の違いを超えた、相互理解と痛みの共有への努力の歴史」にほかなりません。
1 件のコメント:
このシリーズは逗子市にお住まいの和歌山静子さんが苦心して企画されていたと思います。
彼女の作品は「くつがゆく」 鎌倉市図書館で御披露目の講演会がありましたが、残念ながら人の集まりが今ひとつ(*_*;でした。
平和ぼけ?
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