つちはんみょう
偕成社
本体2000円+税
舘野鴻
ツチハンミョウという虫の生態が見事に描かれていることに驚嘆します。あとがきによると、作者は10年前にこの虫を描こうと決め、何年も観察を続けました。途中で諦めかけたこともあるそうですが、その努力の積み重ねがこの絵本に結実しました。
この絵本に登場するヒメツチハンミョウは日本の固有種で、決して派手とはいえず、目立たない存在だそうです。ツチハンミョウの仲間はハナバチの仲間に寄生するなど、少し変わった生態の虫です。欧米には研究報告がいくつかあり、「ファーブル昆虫記」でも取り上げられているようですが、ヒメツチハンミョウについては、はっきりしないことも多く、作者が自ら調べることになったそうです。
ただ、生まれたばかりの幼虫が、成長の場となるハナバチの巣にたどり着くまでの旅路は調べる術もなく、この絵本では作者が想像する「仮説」を描いたとのこと。仮説として描かれた幼虫の旅の物語はダイナミックに展開し、素晴らしい絵とともに読む人を魅了します。
ツチハンミョウは、あまり馴染みのある虫ではないかもしれません。しかし、作者はその一生を通じて自然を生き抜く命の大切さを訴えているように思います。この絵本から、作者のその意図を十二分に受け止めることができると思います。
ツチハンミョウは、あまり馴染みのある虫ではないかもしれません。しかし、作者はその一生を通じて自然を生き抜く命の大切さを訴えているように思います。この絵本から、作者のその意図を十二分に受け止めることができると思います。
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