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2015年9月3日木曜日

【本の紹介】おおきな木

おおきな木

あすなろ書房
シェル・シルヴァスタイン
村上春樹 訳

 「大きな木」に登場するのは一本の木と一人の少年だ。
 木は少年に、できる限りのものを与える。葉っぱは王様の冠となり、空腹を満たすりんごを与えることもできた。少年が成長すると、りんごを売ってお金を得ることも教えた。家が欲しいといわれ、自らの枝を与えた。遠くに行きたいという少年に舟を作りなさいと幹を与え、最後には切り株になってしまった。
 遠くへ行ったはずの少年は、年老いた後、木のところに戻ってきた。何も与えるものがない木。少年は静かに休める場所が欲しいといい、木は切り株になった自分に座りなさいという。少年は腰を降ろす。そして、木はしあわせを感じていた。
 少年は舟で遠くに行く前、「こころがかなしすぎる」といっていた。切り株に座り、どこか遠くをみているような少年。彼にも、しあわせを感じてほしいと願わずにはいられない。


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