韓国・ソウルの地下鉄がお話してくれます。地下越をいつも使っている、ごく普通の人々の日常の物語を描いた絵本です。
ワンジュさんは学校いちのかけっこの選手だったのに、朝は可愛い娘の顔を、あと一回、あと一回と見てしまうので、会社に着くのはいつもビリ。潮のかおりをいっぱい漂わせて乗り込んできたおばあさんは、娘が好きなタコと、娘の娘が好きなアワビで美味しいご飯をつくってあげるようです。こわがりで泣き虫で朝寝坊ばかりしていたユソンは、いつのまにか二人の子どものおかあさんになりました。
透明感のある絵で、一つひとつの物語の奥深さを表現しています。しっかりとした絵の構成でお話がぶれることなく流れていきます。毎日をさりげなく、でも懸命に生きている人々が、とても愛おしく感じられます。
丁寧に描いた絵から、人間を優しく見つめる作者の気持ちが伝わります。ユーモラスな表現も散りばめ、絵本の楽しさが読む人の心に響きます。(店主)
わたしは地下鉄です
文・絵 キム・ヒョウン
訳 万木森玲
岩崎書店
2023年11月30日発行
定価(本体1800円+税)
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