くわのみ書房は「村上春樹の絵本を読む会 vol.3」を10月19日(土)に開催しました。お二人の方にご参加いただきました。
今回読んだ絵本は「ふわふわ」(村上春樹・文、安西水丸・絵、講談社)です。表紙には猫が描かれ、「ふわふわ」とは猫のことだと想像できます。この絵本は、おそらく作者と思われる「ぼく」が、幼いころ一緒に過ごした猫との思い出を綴ります。
太陽の光があふれた縁側で猫と並んで昼寝すると、「ぼく」はまるで自分が猫の一部になったような気持ちで猫の毛のにおいをかぐことができました。太陽の温かさをしっかり吸い込んだ猫の毛。ふわふわした柔らかい毛に手を伸ばして撫でてやると、猫はごろごろと喉を鳴らし始めます。「ぼく」はその猫から、命ある者にとって等しく大事なこと、たとえば「幸せとは暖かくて柔らかいことであり、それはどこまでいっても、変わることはないんだというようなこと」を学びます。
猫には、「ぼく」の父親により「緞通(だんつう)」という奇妙な名前が付けられていました。緞通とは、中国の上等な絨毯のことだそうです。この猫は、かなり年をとってから「ぼく」の家にやってきました。「ぼく」にとっては、はじめから「年老いたおおきな雌猫」でした。というわけで、「ぼく」は今でも、あらゆる種類の猫たちの中で「年老いたおおきな雌猫」が一番好きなのです。
「ふわふわ」は現在、講談社文庫で入手することができます。(店主)
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