独裁政治について分かりやすくシンプルに描いた絵本です。独裁は私たちが望む民主主義に真っ向から反対します。私たちは独裁政治にどう立ち向かっていけばよいのか。この絵本はそれを考えるきっかけになると思います。
独裁政治とは、一人の独裁者が社会のほとんどすべての仕組みを決めてしまうことです。人々は自分なりにものを考えたり、その考えに従って行動したりすることができなくなります。それは自由のない、とても息苦しい社会です。また、独裁政治が行われている社会では多くの人がとても不公平な扱いを受け、貧しくなっていきます。
それでも希望はあります。独裁政治が行われている中でも、人々は考え、そしていろいろなことに気づきます。やがて独裁政治は終わり、その後に新しい歴史が始まります。この絵本は、その歴史の主役は自由だといっています。そして、自由の歴史をつくるのは、ほかならぬ私たち自身です。
この本の原作は40年ほど前にスペインで出版されました。スペインが民主主義の道を歩み始めた時代、子どもたちにこれからどんな社会をつくっていきたいか考えてもらおうと企画されました。世界には、まだ独裁政治が行われているところがあります。独裁政治とはいわれなくても、それとほぼ変わらないことが行われている場合もあります。訳者の宇野和美さんはこの本の「はじめに」で、ここに書かれていることは「いま、日本のわたしたちが考えたいことと、おどろくほどよくにている」といっています。今こそ、多くの人に読んでもらいたい絵本だと思います。
この絵本は、私たちの社会の課題になっている4つのテーマを取り上げた「あしたのための本」シリーズの1冊です。(店主)
独裁政治とは?
文 プランテルグループ
絵 ミケル・カサル
訳 宇野和美
あかね書房
2019年7月20日発行
本体1800円+税
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