岩手県遠野市には、今でも馬と人が助け合う暮らしが残っています。馬と一緒に生きることを選んだ人がいるのです。この絵本は馬と生きる人の暮らしぶりを紹介します。
見方芳勝さんは「地駄引き(じだびき)」を仕事にする「馬方(うまかた)」です。地駄引きとは、山の中で大きな木を馬に運ばせる仕事です。大きな木をきったあと、それをトラックが入れる道まで運びます。
木を運ぶ際にトラックなどを使おうとすると、幅の広い道が必要になります。広い道をつくるためには、山の木をいっぺんに数多くきりださなければなりません。ただ、そうすると雨が降ったときに土砂が流れ出すなど、山が荒れることになります。馬を使えば、馬が通れるだけの道幅があればよいので、木を少しずつきっていけばよいのです。馬を使う地駄引きは、山を痛めつけることが少ないということで見直されるようになりました。
見方さんは子どものころから馬が大好きでした。大人になってもその気持ちを大切にし、馬との暮らしを続けてきました。でも見方さんは、どの馬にも名前をつけることはないそうです。馬に情をうつしては、馬方を続けていくことができないと分かっているからです。馬と生きる見方さんの暮らしから、私たちが今必要していることが見えてくるように思います。(店主)
馬と生きる(たくさんのふしぎ2019年9月号)
澄川嘉彦 文
五十嵐大介 絵
福音館書店
2019年11月1日発行
本体700円+税
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