昔の京の都を舞台にしたお話の絵本です。人々の暮らしを守る鬼と子どもの交流を描きます。
京のはずれに小さな村があり、サブは妹のクニとおばあちゃんの3人で暮らしていました。サブは薪にしようと丸太を持ち帰ります。丸太を洗うと、鬼の顔が浮かび上がってきました。ばあちゃんは、「これはおにの神さんや」といって拝み始めます。「おにの神さん」は恐ろしい災いから人を守ってくれるというのです。
翌朝、ばあちゃんにいわれた通り、サブとクニは丸太を外に運び出し、畑のそばに立てます。いつの間にか、丸太からは手と足が生えていました。それからサブは毎日、丸太の鬼を拝みました。やがて鬼は水や食べ物、そして杖を求めるようになります。それらに応えたサブは「はたけをまもってくれるんやな」とたずねますが、鬼は無言のまま。ところが、その夜、サブは化け物から必死に畑を守る鬼の姿を目にすることになります。
鬼と化け物の壮絶な戦いに圧倒されます。奇想天外なお話の展開と、迫力のある絵から、自然の奥深さを感じ取れるような気がします。お話は作者の岩城範枝さんによる創作です。京都の北野天満宮の鬼神像からインスピレーションを得たそうです。三瀬夏之介さんのダイナミックな絵で、想像の世界がいっそう広がります。(店主)
おにの神さん(こどものとも2019年11月号)
岩城範枝 文
三瀬夏之介 絵
福音館書店
2019年11月1日発行
本体400円+税
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