はさみむしの生態を描いた絵本です。きれいな羽や、かっこいい角がある訳でも無く、夜行性で目立たない存在。「ちょっと嫌な虫」と思われているようです。私もそう思っていましたが、その生態はとても面白そうです。
メスは卵を産むと、幼虫が出てくるまでこまめに世話をしてあげるそうです。カビが生えないように、卵を一つずつくわえてなめて汚れを取り、ばらばらに広げて風通しをよくしたあと、また集めたりと、なかなか忙しい。
卵が産みおとされて10日ほど経つと、幼虫が出てきます。小さいながらお尻にはさみがあり、親と似たような姿です。幼虫はしばらくの間、巣穴の中で母親と一緒に過ごすそうです。母親が運んできた食べ物を食べて大きくなり、10日ほど過ぎると一匹一匹と巣穴から出ていきます。そして、脱皮を繰り返し、冬籠りを経て、成虫に育っていきます。
はさみむしは飼育することができるようです。作者の石森愛彦さんによると、冬に捕まえて飼い買い始めれば、成虫への最後の脱皮、交尾、産卵、卵の世話、母子の仲睦まじいようすまで、一通り観察できるそうです。はさみむしは、虫とは思えないような愛情表現を私たちに見せてくれます。その興味深い生態にとても驚かされました。(店主)
はさみむし(かがくのとも2019年11月号)
石森愛彦 さく
福音館書店
2019年11月1日発行
本体400円+税
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