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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2025年12月3日水曜日

【本の紹介】ある星の汽車




 私たちの心に一抹の寂しさを残す絵本です。寂しい気持ちが続いたあと、希望の兆しも見えてきます。

 広い大地を汽車が走っています。汽車の乗客は、一人の子どもとそのおとうさんを除き、鳥や動物たちです。

 やがて汽車を降りる乗客がぽつりぽつりと現れ始めます。乗客が降りた駅には4桁の数字が描かれた看板が立っています。この数字は何を意味するのでしょう。

 色調を抑えて緻密に描いた絵が私たちの目を引きつけます。4桁の数字の種明かしも記載されています。それを読んだとき、胸を突かれる思いがしました。この絵本は、未来に向かって走る汽車を描いて終わります。(店主)


ある星の汽車

森洋子 作


福音館書店

2025年10月5日発行

定価1,980円(本体1,800円+税10%)


#くわのみ書房

2025年12月1日月曜日

【本の紹介】わたしの町ナガサキ 原爆を生きのびた柿の木と子どもたち




 多くの人に読んでいただきたい物語です。みんな一緒に、平和への願いを大切に持ち続けるために。

 語り手は一本の柿の木です。そこは港を取り囲むように広がる長崎の町。柿の木のてっぺんからは、町全体が見渡せます。柿の木は100年以上前に、若い夫婦が植えました。その夫婦の家族と一緒に、長崎の町で過ごしてきました。

 戦争が2回あり、3回目の戦争は第2次世界大戦に拡大します。やがて1945年8月を迎えます。8月9日午前11時2分、原子爆弾が投下されました。原爆で丸焦げになった柿の木。でも、奇跡的に生き残り、再び柿の実をつけるようになりました。そして、今でも私たちの平和の祈りを支え続けているのです。

 文章、挿絵ともに、イタリア人による作品です。翻訳はとても美しく、読みやすい文章です。優しいタッチの絵も作品によくマッチしています。(店主)


わたしの町ナガサキ 原爆を生きのびた柿の木と子どもたち

キアラ・バッゾーリ 作

アントン・ジョナータ・フェッラーリ 絵

森敦子 さとうのりか 訳


2025年8月9日発行

工学図書(山烋のえほん)

定価(本体1,800円+税)

2025年11月27日木曜日

【本の紹介】ララのまほうのことば




 植物と友だちになると、いいことが起こります。いいことって、どんなことでしょう。この絵本で見つけてみましょう。優しいタッチでのびのびと描かれた絵も素敵です。

 ララはとても元気な子ども。おかあさんに「あなた みたいな おてんば、ほかにいる?」といわれても、そんなことララには分かりません。

 ララには、ララだけの秘密の場所がありました。そこは土とコンクリートの空き地です。あちこちに緑の草と葉っぱが顔を出しています。ララはいつも緑の友だちの植物たちに優しい言葉を投げかけます。でも、いつも泥だらけのララにおかあさんはうんざりしているようです。

 夏の一番暑い日、とうとうララはおかあさんから外に出ることを禁止されてしまいました。緑の友だちに会えずに一夜を過ごしたララ。ところがその翌朝、太陽の光がいつもより穏やかになっていました。なぜかって? ララの「さいこうのおともだち」の姿に、街の人もララのおかあさんもびっくりしていますよ。(店主)


ララのまほうのことば

グレーシー・ジャン さく

やのあやこ やく


工学図書(山烋のえほん)

2025年7月6日発行

定価(本体1,800円+税)


#くわのみ書房

【本の紹介】藍染めのアポレンカ




 藍染めを愛し、大切に守ろうとする思いが結実した絵本です。美しい絵は藍染めの布の質感まで見事に再現し、私たちの心をとらえます。

 日本でもお馴染みの藍染めはヨーロッパでも広く行われていました。2020年には、オーストリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、スロヴァキアの5カ国による共同提案で、藍染めがユネスコ無形文化遺産に登録されています。

 この絵本はチェコの藍染め工房を舞台に、人形が人間の子どもになるというファンタジーからお話が展開します。藍染め職人のおじいさんはおばあさんと二人仲良く暮らしていましたが、子どもがいないことが悩みでした。ところが、ある日、森で見つけた人形を連れて帰ると、その翌朝、人形にそっくりな女の子が台所に現れたのです。

 アポレンカと名付けられた女の子は、おじいさんの仕事を気に入り、藍染めの方法を学びます。絵本を通じて私たちも藍染めを深く知ることになり、その控えめな美しさにあらためて魅せられるのです。(店主)


藍染めのアポレンカ

作 ロマナ・コシュトコヴァー

絵 ヴェロニカ・ヴェルコバー ヤン・シュラーメク

訳 小川里枝


求龍堂

2023年11月13日発行

定価(2,500円+税)


#くわのみ書房

2025年11月22日土曜日

【本の紹介】とびたくないヒコーキ ポッポ




 小さな飛行機の成長を描いた絵本です。思いがけず飛び込んだ世界が素晴らしい景色を見せてくれました。プロ・パイロットの免許を持つ絵本作家の作品です。

 ポッポは、花模様も可愛らしい小さなヒコーキです。まだ空を飛んだことはありません。飛ぶための勉強に励んでいますが、「もし なにかあったら どうしよう」と心配はつきません。

 そのときポッポがプロペラを回していたのは、体の調子を見ようと思ったからでした。でも、どんどん風が強くなって、いつの間にかポッポの体は浮き上がり、ぐんぐん空高く上がっていくではありませんか。そして、大きな雲に吸い込まれてしまいます。

 空では自分だけが頼りです。ポッポは地上に無事戻ることができるのでしょうか。ハラハラドキドキの冒険で、ポッポは一人前のヒコーキになれるかな。(店主)


とびたくないヒコーキ ポッポ

絵羽のりこ


WCC365+1 label(ウーマンクリエイターズカレッジ365プラスワンレーベル)

2025年8月29日発行

定価2,024円(本体1,840円+税10%)


#くわのみ書房

2025年11月19日水曜日

【本の紹介】白さぎ

 



 少女の心のざわつきを繊細に綴る物語です。丁寧に描かれた挿絵が美しく調和し、物語の世界に奥行きを与えています。

 少女のシルヴィアは祖母と二人、農場で暮らしています。8歳まで工場の町で暮らし、1年前に初めて農場にやってきました。野山歩きを好み、今では森の中を歩き回ることが好きな雌牛と多くの時間を過ごすようになりました。

 シルヴィアは森の中で、銃を肩にした背の高い若い男と出会います。若者は、ある鳥を探していました。鳥を集め、剥製にしているのです。若者は近くで白さぎを見かけ、追ってきたと言います。その白い鳥を見たことがあるシルヴィアは…。

 物語の舞台は、アメリカ北東部のニューイングランドと呼ばれているところです。美しく描写された自然の中で少女の心が揺れ動きます。読み終えたときの余韻が心地よい作品です。(店主)


白さぎ

セアラ・オーン。ジュエット 作

バーバラ・クーニー 絵

石井桃子 訳


のら書店

2025年7月22日発行

定価:1800円(税別)


#くわのみ書房

【本の紹介】秋岡教授の音楽学を愉しむ24の扉




 そもそも「音楽学」という学問分野は、なかなか理解しづらいものと思われます。音楽に関する事柄すべてが研究対象になっているそうで、この本のあとがきでも「かなり裾野が広い学問分野」とされています。その広さゆえに、何をやっているのか、よく分からない。

 この本の著者、秋岡陽さんは音楽学を専門とする研究者です。この本でも音楽に関する幅広いトピックを取り上げ、タイトルに「音楽学を愉しむ」とありますが、そのトピックを誰よりもご本人が愉しまれています。

 書いている人がこれだけ愉しんでいると、読む人も愉しくなるのは当然の成り行きです。ほとんどクラシック音楽にまつわるトピックですが、堅苦しさのない記述に誰もが引き込まれていきます。インターネットを通じて豊富な資料が閲覧できるようにな理、さらに多くの演奏まで聴くことができるようになったことも紹介されています。すでに多くの人が音楽を多様に享受できる環境は整えられているのです。

 秋岡さんは長く大学教授として教鞭をとり、その講義の内容もこの本の中に散りばめられているようです。実は、秋岡さんはくわのみ書房店主の大学時代の先輩。今まで知らなかった秋岡さんの素顔を垣間見たようで、とても興味深く読ませていただきました。(店主)


秋岡教授の音楽学を愉しむ24の扉

秋岡陽


音楽之友社

2024年8月発行

2,420円 (本体2,200円+税)

【本の紹介】なんにもしないでいられるばしょ

 ねずみの子どもが、何もしないで静かにしていられる場所を探すお話です。その目的は明確です。ねずみの子どもは、自分が本当にやりたいことは何なのか、ゆっくり考えたかったのです。柔らかいタッチの美しい絵も魅力的な絵本です。  森の中に古い楡の木があります。その根元にねずみの一家が住んで...