藍染めを愛し、大切に守ろうとする思いが結実した絵本です。美しい絵は藍染めの布の質感まで見事に再現し、私たちの心をとらえます。
日本でもお馴染みの藍染めはヨーロッパでも広く行われていました。2020年には、オーストリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、スロヴァキアの5カ国による共同提案で、藍染めがユネスコ無形文化遺産に登録されています。
この絵本はチェコの藍染め工房を舞台に、人形が人間の子どもになるというファンタジーからお話が展開します。藍染め職人のおじいさんはおばあさんと二人仲良く暮らしていましたが、子どもがいないことが悩みでした。ところが、ある日、森で見つけた人形を連れて帰ると、その翌朝、人形にそっくりな女の子が台所に現れたのです。
アポレンカと名付けられた女の子は、おじいさんの仕事を気に入り、藍染めの方法を学びます。絵本を通じて私たちも藍染めを深く知ることになり、その控えめな美しさにあらためて魅せられるのです。(店主)
藍染めのアポレンカ
作 ロマナ・コシュトコヴァー
絵 ヴェロニカ・ヴェルコバー ヤン・シュラーメク
訳 小川里枝
求龍堂
2023年11月13日発行
定価(2,500円+税)

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