多くの人が知っている「竹取物語」の新しい絵本です。色彩豊かに描かれた美しい絵が読む人を魅了します。再話には、きめ細かい気配りが感じられます。
主人公の「かぐやひめ」をめぐる数奇な物語は、今でも色褪せることはありません。竹から生まれ、やがて月に帰っていく。これほど豊かな想像力はどこから生まれたのでしょう。
月から来るお迎えを阻止するため、帝は多くの兵士をそろえますが、誰も立ち向かうことが出来ません。月の人々の力は私たち人間のそれをはるかに凌駕し、人間は成す術もなく見守るしかないのです。
かぐやひめは月に戻る前、月にいる自分と人間の関係が断たれることはないと示唆します。竹取物語は、月を人間にとっていっそう身近な存在にしています。(店主)
かぐやひめ(こどものとも2025年8月号)
中脇初枝 再話
中井智子 絵
福音館書店
2025年8月1日発行
定価460円(本体418円+税10%)
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