この絵本は作者のとうごうなりささんが、編集者から「街中の木に集まって寝る鳥」をテーマにしたお話を提案されて出来上がったそうです。そのテーマならムクドリを思い浮かべるところですが、この絵本に登場するのはハクセキレイです。
ハクセキレイとよく似ているセグロセキレイという鳥もいて、両者を区別することはなかなか難しいように思います。水辺で見かける鳥という印象が強いセキレイですが、確かに街中でもよく見かけます。
しかもハクセキレイはムクドリと同じように、夜は街中の木に集まって寝ているそうです。ハクセキレイも街中で「集団ねぐら」を作っていることにとても驚きました。集団ねぐらには、駅や交差点の電線、ビルの窓のひさし、ネオンサインの上、店の看板の上なども使われるそうです。
このような場所の共通点は、夜でも照明で明るいこと、人や車が通り静かとは言えないことなどがあります。鳥がどうしてこのような騒がしいところに集団ねぐらを作るのか、さまざまな説が提示されていますが、まだはっきりわかっていないようです。その謎を解明するためには、まずしっかりと観察することが大切。この絵本も、ハクセキレイをしっかり観察して作られたことがよく分かります。版画をベースにした絵は、味わい深い仕上がりです。(店主)
ハクセキレイのよる
とうごうなりさ さく
福音館書店
2022年2月1日発行
定価440円(本体400円+税10%)
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