この絵本がユリー・シュルヴィッツの絵本「よあけ」(福音館書店)にインスピレーションを受けていることは、奥付にシュルヴィッツらへの謝辞があることからも明らかです。作者のあべ弘士さんが、シュルヴィッツの作品に敬意を払いながら、独自の世界観を表現しました。
おじいさんと孫が一緒に、小舟に乗って川を進みます。川は森の中をぬうように流れ、「黄金の9月」と呼ばれる美しい季節に包まれます。
おじいさんは村一番の猟師です。動物の毛皮を町に売りに行く途中、2人は川にせりでた岩山で一晩過ごします。そこは猟師たちの祈りの聖地。おじいさんは酒を飲みながら昔話を語り始めました。眠りにつけば、夜空に満天の星。天の川が横切ります。
翌朝、目を覚ますと、あたり一面は霧の白い世界。船を漕ぎ出すと、やがて霧は流れ、陽の光がみるみるあふれて世界を黄金色に変えました。「ああ、こんな景色を見てみたい」と思わずにはいられません。(店主)
よあけ
あべ弘士
偕成社
2021年10月発行
定価[本体価格1500円+税]
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