貨物列車が紅葉の住宅地を走る印象的な絵が表紙を飾ります。貨物列車のようすを丹念に描いた絵本です。
扉のページの「ピィー。けいてきを ならして れっしゃが やってきます」という文章からお話が始まります。付録にある「作者のことば」によると、作者は貨物列車の汽笛に強く心を揺さぶられたようです。
感傷的な汽笛の音は、作者に郷愁の念を呼び覚ますことになりました。作者は、ただの鉄の塊に過ぎない貨物列車に人間臭い魅力を感じ始め、深い愛情を注ぐようになります。その愛情からこの絵本が生まれました。
丁寧に描き込まれた絵から、普段は見ることのない貨物列車の行動がよく分かり、興味深く読み進めることができます。今日も日本中を走り回る貨物列車に想いを馳せ、凝り固まった心を開放したいと思います。(店主)
かもつれっしゃがゆく(かがくのとも2020年11月号)
みねおみつ さく
福音館書店
2020年11月1日発行
本体400円+税
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