作者のあまんきみこさんの自伝的な絵本です。あまんさんがふと思い出した、幼いころのお話を綴ります。
そのとき、日本は戦争をしていました。あまんさんは中国の大連で暮らしていました。「ハッコちゃん」と名付けたこけしが大切なお友だちでした。ハッコちゃんは、出張で日本に行ったおとうさんが買ってきてくれました。
夏の暑い日、日本は戦争に負けました。あまんさんの家族は、それからふた冬を中国で過ごします。ハッコちゃんも一緒でした。でも、日本に帰ることが決まったとき、おかあさんはハッコちゃんを連れて行くことはできないと告げます。
明日は出発という日、あまんさんはハッコちゃんの頭を何回も何回も撫でたあと、おとうさんに手渡します。あまんさんは、そのあとのことは覚えていません。ただ、ストーブの中で、ごうっと炎の音がしたことが記憶に残っているそうです。あまんさんが伝えたいと願ったのは、幼いころの喜びと哀しみ。ささめやゆきさんの温かいタッチの絵を通じて私たちの心に届きます。(店主)
あるひ あるとき
あまんきみこ 文
ささめやゆき 絵
のら書店
2020年7月10日発行
本体1500円+税
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