この絵本のタイトルにある「線」は電線のことです。「管」は水道管とガス管のこと。つまり「線と菅のない家」は、電気や水やガスの供給を受けない家のことです。本当にそんなお家で暮らしていけるのでしょうか。
きっかけは東日本大震災だったといいます。震災、そして震災による原子力発電所の事故発生などがあり、私たちの生活、そして社会のシステムがこのままでよいのだろうかと考えた人たちがいました。その答えとして実際に線と菅のない家をつくろうとした人がいて、そのお話をそのまま写真絵本にしたいと頼む人がいました。出来上がったのが、この絵本です。
いろいろな工夫を重ねて、電気や水道、ガスのお世話にならずに生活していける家が出来上がりました。この家をみると、「未来に宿題を残さないようなエネルギー源」、つまり再生可能エネルギーと、それを使った暮らしのあり方を考えるときが来たと思います。そして、どうやらそれは、とても楽しいことのようです。
原子力発電には問題がたくさんあります。石油、石炭、天然ガスなどを燃やす火力発電も、地球の温暖化の問題を考えれば、できるだけ減らす方向に進むべきです。この絵本が私たちの未来を考えるきっかけになるはずです。(店主)
線と管のない家(たくさんのふしぎ2020年3月号)
森枝卓士 文・写真
吉田全作 写真
中村好文 絵
福音館書店
2020年3月1日発行
本体700円+税
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