この絵本に描かれた秘密の計画とはマンハッタン計画のことです。原子爆弾を開発・製造する目的で実施され、その結果として二つの原爆が日本に落とされることになりました。
原爆製造の計画は秘密にすることを徹底され、何かに急き立てられるかのように進められます。この絵本はそのようすをたんたんと描きます。不気味であり、作者の憤りが伝わってきます。
アメリカでは、原爆投下は戦争を終わらせるために必要だったとする意見が一般的なようです。ただ、訳者のあとがきによると、その一方で「原爆を落とさなくても戦争は終わっていたはず」「原爆ができたからには落としてみたいと思ったのではないか」という声も上がるようになりました。
この絵本はそうした流れの中で出版されました。アメリカに住む絵本作家のジャネット・ウインターが息子のジョナと一緒に作りました。著者あとがきには、世界にまだ数多く残る核兵器について「いつかその数がゼロになることをねがっています」と書かれています。私も同様に強く願っています。そして、こうした絵本が作られたことをうれしく思いました。(店主)
この計画はひみつです
ジョナ・ウインター 文
ジャネット・ウインター 絵
さくまゆみこ 訳
鈴木出版
本体1500円+税
2018年6月20日発行
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