この絵本は問いかけます。「このせん なんだろう?」
答えは、水鉄砲から出ている水であったり、コップの中のジュースであったり、切り分けられたケーキであったり、見れば「ああそうだったの」と思うものばかりです。この絵本はとてもシンプルな構成です。
この絵本について、作者の鈴木康広さんは「身近なものを見つめ直す楽しさを子どもたちに体験してもらえる絵本にしたい」と書いています。そのため「さまざまなものに潜む線」を探し出し、「普段は目に見えていないところへ目を向ける体験」ができるように工夫しました。
ただ、もともと線には幅もなく、目で見ることはできないはず。でも現実の世界では、この絵本が描いたように、いたるところに線を見出すことができます。作者の鈴木さんは「目に見えない理想の世界と現実の物理の世界の間をつなぐヒントが『線』にあるような気がしています」と述べています。私たちは今、目に見えないものと関わっていかなければならない時代に生きています。そんな私たちに、線は何らかのヒントを与えているのかもしれません。(店主)
せんのはっけん(かがくのとも2019年2月号)
鈴木康広
福音館書店
2019年2月1日発行
本体389円+税
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