病気で入院生活を余儀なくされている子どもたちがいます。そんな子どもたちの生活ができるだけ楽しくなるように応援する人がチャイルド・ライフ・スペシャリストです。今から60年ほど前にアメリカで始まった専門職です。日本にはまだ40人くらい、世界中でも4000人くらいしかいないそうです。
この絵本の文章を書いた藤井あけみさんは、数少ない日本のチャイルド・ライフ・スペシャリストの一人です。藤井さんは自ら病院で出会った子どもたちを紹介しながら、チャイルド・ライフ・スペシャリストとして子どもたちとどう関わってきたか描いています。病院で入院生活を送る子どもたちの状況は多様であり、深い洞察力と一人ひとりに寄り添う愛情が必要になることが分かります。小平彩見さんによる絵は版画のようです。暖かみを感じさせる仕上がりになりました。
チャイルド・ライフ・スペシャリストの仕事は最近、病気ではない子どもたちへの応援も始まっているそうです。例えば、病気を持った子どもたちの兄弟姉妹がその対象になります。親が病気の子どもを心配する一方で、寂しい思いをしている子どもたちが少なからずいます。そんな子どもたちもチャイルド・ライフ・スペシャリストの応援を必要としています。
病気の子どもたちがつらい思いをしていることは間違いありませんが、藤井さんはその貴重な経験について話を聞くことで、私たちはもっと多くのことを学べるはずだといっています。病気の子どもたちが幸せに生きられる世界こそ、すべての子どもたちにとって居心地のよい世界になるからです。私も、病気の子どもたちの声に耳を傾ける人間の一人になりたいと思います。(店主)
病院の子どもたち(たくさんのふしぎ2019年2月号)
藤井あけみ 文
小平彩見 絵
福音館書店
2019年2月1日発行
本体667円+税
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