小さなサンと天の竜
徳間書店
チェン・ジャンホン作・絵
平岡敦訳
この絵本を描いたチェン・ジャンホンは中国の天津で生まれ、北京で美術を学んだ後、フランスのパリに移住したそうです。中国の伝統的水墨画の手法をいかした絵は高い評価を得て成功を収め、絵本作家としても活躍しています。「むかしむかし、三つの高い山に囲まれた谷間に、小さな村がありました」と始まるこの絵本の舞台は、おそらく中国でしょう。壮大なスケールのお話に圧倒されてしまいます。
ある夏の夜、小さな村の畑は大雨の後に起こったがけ崩れで埋もれてしまいます。村人たちはみな、畑を諦めてこの村を離れることにしました。でも、これから赤ん坊が生まれる一家は谷に留まりました。この一家には山の向こうに畑が残っていたのです。
がけ崩れの3日後、泣き声も上げず、にこにこ笑いながら生まれてきた不思議な男の子はサンと名付けられました。サンは6歳になりました。おかあさんはひどく疲れるようになり、畑仕事に出られなくなってしまいました。おとうさんも力なく座り込んでいます。そんな二人を見て、サンは大きな声で言いました。「ぼくが、山を動かす」。
次の朝、サンはつるはしを持ち、樽を背負って家を出ました。つるはしで岩を砕き、かけらを樽に放り込むと村はずれに運びます。サンはもうほかのことなど考えられません。冬になり、吹雪の中でもサンは諦めませんでした。再び春がめぐり、サンはほらあなでおじいさんと出会います。秋が深まったある夜、おじいさんとサンは三つの高い山をのぞむ岩の上で祈ります。すると三筋の稲妻が闇を引き裂き、三頭の白い龍が現れました。山を動かすというサンの願いは叶うのでしょうか。
日本の漫画を思わせるコマ割りも使いながら、お話がスピーディに展開していきます。大型の判型をいかした迫力のある絵も楽しみましょう。
日本の漫画を思わせるコマ割りも使いながら、お話がスピーディに展開していきます。大型の判型をいかした迫力のある絵も楽しみましょう。
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