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2019年4月25日木曜日

【本の紹介】どこどこ こけし




 旅するこけしの絵本です。茶だんすの上に置かれたこけしが旅に出て、いろいろ非日常の世界に出没するという奇想天外な発想があり、それを見事に絵で表現してしまった想像の広がりに脱帽します。
 表紙にはすまし顔のこけし。扉のページでは茶だんすの上に鎮座ましましております。扉をめくるとこけしがいない。「どこいっちゃったんだろう…」とつぶやく子ども。茶の間のテレビは野球中継の真っ最中です。どうやら、そこが非日常の世界の入り口だったようです。
 こけしはテレビの中の野球場からスタートして、非日常の世界を渡り歩きます。描き込まれたそれぞれの場面でこけしがどこにいるのか探す楽しみがあり、またこけしとは関わりのないたくさんの物語を発見する喜びがあります。ことばは短くても、すばらしい絵を引っ張ってきた力があると思います。ことばと絵が見事な反応を示したようです。実はとても贅沢な内容の絵本です。
 今では少しレトロなイメージのこけしですが、かつてどこの家にもあったと思います。身近な存在のこけしが私たちを非日常の世界に連れていってくれます。大人も子どもと一緒に、大いに楽しみましょう。(店主)

どこどこ こけし
山田マチ 作
花山かずみ 絵

こぐま社
本体1300円+税
2019年3月5日発行

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