旅を続ける家族を描いた絵本です。おかあさんと二人の子どもの家族です。おとうさんはいません。戦争に奪われたのです。
戦争は家族の生活をすっかり変えてしまいました。家族が住む町の暮らしは、何もかもがますますひどくなるばかり。おかあさんは「安心してくらせるところ」を目指し、町を離れることを決意します。何日も何日も続く旅の始まりです。
美しく洗練された絵は登場人物の感情を抑制して表現しているように見えます。しかし、人間の不安や恐れ、悲しみは確実に伝わり、心に響きます。テンポよく絵が展開し、お話に緊張感を与えています。最後のページに描かれているのは、決して希望を失わない家族の姿でした。
この絵本は、作者がイタリアの難民センターで出会った二人の女の子から話を聞いたことをきっかけに作られました。日本にいる私たちも、ニュースで毎日のように「難民」という言葉を聞くようになりました。難民は過酷な旅を強いられている人たちです。この絵本を通じて、その旅の意味をあらためて考えてみたいと思います。(店主)
ジャーニー 国境をこえて
フランチェスカ・サンナ 作
青山真知子 訳
きじとら出版
本体2000円+税
2018年9月15日発行
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