母親と一緒にいることを願う子どもがいます。母親はパイロットです。父親が食事やお茶を用意しています。この絵本で描かれているのは、一つの家族のごくありふれた日常です。
母親は夜、子どもが寝静まったあと、仕事に出かけます。雪が降り始めていました。空港は雪で埋もれ、予定されていたフライトは欠航になったようです。母親は急いで家に戻ります。子どもの願いは叶い、雪遊びの楽しい一日となりました。
独特な雰囲気を持った絵が物語を繋いでいきます。ときを止めるかのような重たさ、そしてそれ故に、描かれた世界の深みを感じさせます。言葉は子どもの願いに沿ったかのように流れていきます。
居間に飾られた写真が何を意味するのか、とても気になりますが、まだ答えは見えてきません。この絵本にはまだ多くのお話が隠されているのかもしれません。(店主)
あさがくるまえに
ジョイス・シドマン 文
ベス・クロムス 絵
さくまゆみこ 訳
岩波書店
本体1500円+税
2017年12月13日発行
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